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木村政彦はなぜ・・・  2011年10月11日

私が育った70〜80年代の少年期
どの格闘技が一番強いかという議論において柔道の評価はそんなに高くなかったような記憶があります。
オリンピック金メダリストがプロレスラーに負けたり、漫画では、柔道家が空手家の引立て役だったりして・・・

しかし、90年代に、その評価を覆す事件が起こります。
ホイス・グレイシーという柔道のテクニックをベースする柔術家が、ボクサーやプロレスラーを相手に関節や絞めで次々と倒し、何でもありの異種格闘技大会のチャンピオンになったのです。
柔道の実践性が見直されたことが嬉しく、今までやったこともない前三角絞めを練習したことが思い出されます。
その後、グレイシー柔術の起源が早稲田大学柔道部の先輩の前田光世であるという事実、そして、柔道家の木村政彦がグレイシー柔術に勝っていたという事実を知ったのでした。






さて、こんな本をよみました。









木村政彦はなぜ・・・01



『木村の前に木村なく、木村の後に木村なし』といわれた不世出の柔道家の人生と取り巻く人々のノンフィクションです。
北大柔道部出身である著者の木村政彦を通しての柔道への愛を感じずにいられません。
最後は、衝撃的な事実で幕をとじます。

そういえば、私がはじめて手にした柔道の教本は木村先生の本。
学生の頃、木村先生を日本武道館でおみかけしたことがあります。
また、岩釣先生には、木村先生直伝の大外刈の指導をしていただいたり、海外遠征に引率していただいた際には、木村先生の話しを伺ったりしたこともありました。
私にとって、今まで読んだどのノンフィクションよりリアリティーがあります。
柔道の歴史を知り、また、柔道の将来を考えるキッカケをつくってくれる内容は、柔道を愛するものにとって必読書です。


さて、この本には多くの早稲田関係者の名前がでてきます。
前田光世、石黒敬七、二宮宗太郎、永光傳、川石酒造之助、八田一朗、山口利夫、富木謙治、大澤慶己、石井千秋 その他多くの早稲田柔道の諸先輩。
戦前戦後において、日本のみならず世界の柔道界や格闘界に早稲田柔道が、どのように関わってきたかがよく分かります。
早稲田大学柔道部の先輩方から聞いたこと、自分が体験したりしたことの点と点が、線となって繋がりました。
また、柔道部以外にも、ラグビーの大西鐡之祐先生、ウェイトリフティングの窪田登先生、レスリングの太田章先生も登場します。
ただし、山本秀雄先生のことが紹介されていないのが少し残念!

700ページの長編。
秋の夜長にお勧めです。