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早稲田大学

江川トレーナーのコンディショニング講座

柔道の試合前のアップって・・・  2012年02月26日



試合前のアップはいつもの練習中のアップとは異なります。
今持っている能力を最大限発揮するために、筋肉とカラダの反応を引き上げるのがアップです。
そして試合中の突発的かつ変則的な身体への負荷に対する対応力を引き出すのがアップです。

たくさんの他大の選手がいる中で、限られたスペースで自分の能力が最高の状態で引き出せるように、気持ちも、気合いも、身体の状態も、身体エネルギーの状態もベストな状態に持っていく必要があります。

しかも短時間で。

ポイントは

他のチームの選手がアップを始めてから初めても駄目(身体エネルギーの観点)
他のチームの選手の「目」を気にしては駄目(身体エネルギーの観点)

声の出ていないアップは駄目(一定の興奮状態に強引に持っていく)

試合開始直前に身体が汗をかいた状態で熱くなってなくては駄目(生理学的観点)
これは柔道の試合の進行状況から考えて2回のアップが必要でしょう。

1次アップは柔道着を着ないでいいでしょう。筋肉の反応を引き出しすこと、そして心臓に最大限の負荷を与えることに集中します。柔道の動きに対応できる筋と、試合の後半でも身体中に十分に酸素を送ることがきる心肺系の状態にもっていくことが目的です。回転運動含めこの1次アップが試合中の身体のコンディションを左右すると思われます。最終的には脳の反応が十分に引き出せるような「体軸」が完成されて初めて1次アップが終了します。この間、気合いやかけ声などでメンタル的にも試合に適切な状態にもっていく必要があります。

そして少し時間があいても良いので、脈を整え、水分補給を行い柔道着に着替えて2次アップです。ここでいつもやっているような打ち込みや技の確認を十分にやればよいと考えています。

1次アップを十分にやらずに2次アップのみでアップを完了させる柔道選手が多いようでうが、打ち込みや技の確認では脈があがったように思えても、絶対に十分ではありません。人間の身体には特異性というものがあるので、その動きに特異的な筋と動きだけが反応します。しかも打ち込みや技の確認はパターン化された運動なので、試合中のとっさの動きに反応する身体の準備にはなりません。脳の準備ができていないのです。

方法は難しくありません。
プログラムの順番と、選手本人の意識、そして「体軸」です。

それから大切なのは、これを選手自身が自らで行うことです。
どんなにいいプログラムでアップをしても、トレーナーの指示で受動的にやっていては駄目です。
やっぱり脳は反応してくれません。

受動的な気持ちでアップをするよりも、能動的な気持ちで積極的にアップをするほうが、
脳は強くそのアプローチに反応してくれます。
おそらく、試合中の動き、反応、一瞬の判断に大きな影響を与えると考えられます。

柔道は選手が考えている以上に無意識における「脳の反応」が重要な役割を持っていると思います。
身体の生理学的な反応だけでなく脳の反応もひきだせるアップのアプローチが必要です。

柔道界は不思議なもので、スポーツ医科学的な観点での、試合前の過ごし方に欠けているような感じがしてます。他のスポーツでは当たり前のことが、柔道界ではまったく根付いていないようです。そこに気づいている大学は少しずつ変わり始めています。まずは早稲田から変えられないものか・・・というか気づき始めた他のチームを一気に追い抜かねば。