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2012-2013シーズンの外傷・障害報告概要  2013年11月11日

次に、2012-2013シーズンの外傷・障害報告概要を公開可能な範囲で。

 柔道は格闘技なので怪我(外傷・障害)が多いことは予測できるのですが、それでも本シーズンは怪我が多かったと感じます。試合中や乱取り中に発生したものがほとんどですが、ふとしたときに受傷するケースもありました。柔道の怪我にも、予防可能なものと予防が難しいものがあります。レベルがあがり、体格差、筋力差、技術の差が圧倒的になるケースもあると考えると、ただ柔道の練習をするだけではダメでしょう。

「ケガをしないための身体」をいかに効率よく作るかがポイントです。

 怪我に関しては、トレーナーからの指示だけでなく、選手自身が自らで怪我を予防できるようセルフチェック&コンディショニングを行い、自分の身体と向き合っていく必要があります。怪我をしないための基礎的な身体づくり、特に身体組成の改善(筋量増加、筋の質を改善)が絶対的に必要だと思います。

 トレーナー側から客観的にチームを評価して、「戦い抜ける」選手が極めて少ないという現状を感じています。トレーニングを含めて、「戦い抜ける選手」、すなわち「自立した選手」、具体的には、「コンディションやフィジカルの面でも、精神面でも、柔道のために自分で状態を整えられる選手」ということになるかもしれません。 

 怪我をしない選手になるには、意識を強くもってトレーニングやコンディショニングをするしかありません。選手教育を通して選手自身が「気付き」を得ない限りなかなか実現難しいのですが、チームの遠征時やトレーナー講習を開催したときに、「戦い抜ける選手」への手がかりをトレーナー側で根気よく指導していく必要があります。

■外傷・障害報告
 本シーズンの外傷・障害記録では、膝関節、肩関節、肘関節、手関節、足関節の靭帯、筋・腱損傷が多く発生していた。障害別発生状況をみると、膝関節の靭帯損傷と肩関節のインピンジメント症候群、および肘関節内側側副靭帯損傷が特に多く、柔道の競技特性を強く反映している。靭帯損傷は身体の問題(柔軟性不足、関節の安定性、および身体の使い方、力の入れ方が理解できていないこと)と技術の不足の両方が要因にあると思われる。

 発生した怪我には、予防可能な発生メカニズムであるものと、突発的で予防が不可能なものの両方が含まれていた。柔道の技量不足は技をかける側の問題と、かけられる側の問題があるが、予防可能な怪我の中には、特に膝関節の怪我に、技をかけられる側の技量不足が原因となって発生したものが多かった(技をかけた上級者が受傷)。また乱取り中の不意の動作において相手に乗られ、片脚後方荷重に膝内反強制が伴った場合に膝靭帯の損傷が頻発していた。これは身体バランス感覚や動作調整能力の不足によることが多く、アジリティトレーニングやコオーディネーショントレーニングを導入し、積極的に身体の「使い方」を習得させることが必要と思われる。また、柔道の怪我においては、組み合う時の姿勢や距離感といった戦術的な要素も大きく関連していると思われる。靭帯損傷の予防のためには、慣習的になってしまっている基本的な技術の反復練習と、指導者によるチェックが必要かもしれない。
 
 本シーズンは脳震盪が3件発生しており、少ないながらも重症度の高い頭頚部障害も発生している。競技復帰には医師の診断を絶対とし、安静に対して厳格な対応が求められる。頚の怪我は30件を超え、熟練者の多い柔道選手の集団としては発生件数が多い。頚の怪我は頭や競技パフォーマンスに直接影響を与えるため、対策が急務である。特に基本的な受け身や身のこなしの指導を指導陣と連携をとって行う必要がある。

2012-2013シーズンの外傷・障害報告概要01
*件数は発生件数(延べ人数ではない)