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江川トレーナーのコンディショニング講座

コンディショニングは「進取の精神」で  2013年11月29日

28日の朝稽古帯同時にはこんなことがありました。 
トレーナーチームが練習のアップのために処方したダイナミックストレッチングやコンディショニングプログラムが時を経て形だけになっており、十分な効果が望めない状況になっていました。

しかし、形だけのプログラムは、効果がないだけでなく時間の無駄になります。限られた時間の中で最大の効果をだすためには、コンディショニング内容が十分に吟味され、選手全員が納得する形で全力で臨まなければなりません。「戦い抜ける選手」を育成していくためには大切なことです。

言及したところ、学生トレーナーはこの状況に気付いていました。

・・・気付いているならなんとかしなさい。

と、言いたいところですが、学生だけではなかなか動き方がわからないのも仕方ありません。私は、「プログラムを正確にやらないと、アップの効果はでなないので、必要に応じてトレーナーが指導をおこないなさい。」という簡単な指示と方法を示しました。選手が長年柔道を行ってきてルーティーン化している準備体操では、競技スポーツを専門とするトレーナーからみると明らかに不十分です。一方で、柔道では乱取りに入る前までがアップであると捉える選手も多いようです。それを理解した上での指示です。

この指示のあと、学生トレーナーおよびストレングスコーチである大熊トレーナーが、選手と話し合いをおこなったようです。そして対応した結果が大熊トレーナーから報告されました。

(以下引用)

本日、ウォーミングアップについて、男子主要メンバーと話し合いを行いました。
やはり柔道選手の中には、打ち込みまでにアップを済ませ、乱取りに合わせるという考えがあるようでした。しかし、打ち込みからスキルを高める練習として出来るように、身体を温めておきたいという考えを持ったものもおりました。ただ、試合時のようなウォーミングアップを練習時に毎回行うのは、時間的な面と心理的な面(やはり違和感を感じるようです)から行いづらいということでした。中でも、ダッシュ系メニューは、柔道にない動きでもあり、違和感を感じるということでした。

そこで、サーキット(10秒×7種目×2セット)をダイナミックストレッチ、回転運動の後に取り入れることになり、引き続き主将に指揮をとってもらうことになりました。サーキットは高校時代、アップに取り入れているところも多くあり、受け入れやすいようです。 ダイナミックストレッチも種目が少なくなっているので、ローテーションで色んな種目を入れてもらいます。

(引用ここまで)

とのことです。ヘッドトレーナーが修正すべきと判断したところを、選手と相談し、うまく折衷案をみつけたようですね。

これでいいのです。
というか狙いどおりです(笑)

他のスポーツでは医科学的に必要だと判断されることでも、柔道選手にとっては違和感であることもたくさんあります。すべてを受動的に受け入れる必要はなく、トレーナーが必要性を説いたあとは、選手自身が考え、理解し、納得できる形で新しいことを導入していくことだと思います。まさに「進取の精神」です。

目的はプログラムをやることではなく、柔道が強くなるために、練習で最大限の効果を出すために何をするかなので。生理学的に理にかなっていればなんでもいいと思います。

そしてそれを、学生同士で議論して選手が中心となってコンディショニングを行っていくことが大切だと考えています。「戦い抜ける選手」すなわち「柔道選手として自立していること」を目指すのが、早稲田大学柔道部のコンディショニングの目標です。これは、選手自身にも当てはまりますが、それをサポートする学生トレーナーにも当てはまります。