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早稲田大学柔道部 「日本一愛される柔道部へ!」

江川トレーナーのコンディショニング講座

6:勝利の鍵はどこに?  2010年06月27日

本日、全日本学生選手権が終わりました。おそらく、早稲田大学柔道部の選手たちは、今日の試合を終え、勝つために今の自分に何が必要なのかを考え、どう対処していけばいいのかをそれぞれが模索している最中だと思います。しかし、試合後に数人の選手と何気なく言葉を交わした結果、自分が変わっていくために必要な「手段」が分からず、すでにいつもの暗礁に乗り上げかけていると感じました。
6:勝利の鍵はどこに?01
(本日の試合のアップの様子・・・人が多すぎるw)

さて、どうすればいいのでしょうか?今回は脳機能の観点から、試合で勝つために必要なことを考えてみたいと思います。

脳は人体の中でも最もエネルギーを必要とする器官の為、その時重要だと思った情報以外を遮断してしまいます。これは脳のRAS(網様体賦活系)の機能のひとつです。例えば、映画館で周りにたくさん人がいたとして、前の席の人の頭が見えていたとしても、映画が始まるとそれはいつの間にか気にならなくなる経験はないですか?これは、映画を楽しむ為には人の頭よりも映画の内容が重要な為、脳が無意識的に周りの情報を遮断することにより起こる現象だと考えられています。明確な目標:ゴール(この場合は映画を楽しむということ)を設定すると、今見ている世界からそのゴールに到達するために必要な情報を無意識的に探そうとする、そして必要でない情報は遮断する機能が、脳には備わっているようです。明確なゴールはそこに至るに必要な道を自ずと引き寄せるともいえます。

目標を達成させるためには、目標を明確に、強くイメージすることが重要です。私はこれを「脳をセットする」と表現しています。実際に選手のコンディショニングをする際にも、「試合の当日に選手が最高のコンディションで試合に勝った」時のコンディション状況と流れを自分の脳で強くイメージ(セット)して、選手の身体のトレーニング指導をしています。すると選手の表情や身体の状況から、その日にどのくらいの強度でトレーニングをすればいいか、練習後にどのようなコンディショニングが必要なのかが見えてきます。これと科学的根拠に基づくコンディショニングデータをもとに試合までの道のりを考えています。
6:勝利の鍵はどこに?02
(選手のコンディションを毎日モニターしています)

この「脳をセットする」ことを、脳機能学、認知科学では「内部表現(マインド)の書き換え」と呼んでいます。変わった自分を明確に意識(マインド)することによって脳をその状態にしてしまう(脳をだます→書き換える)ということです。よって、目標の達成のためには、「試合に勝ちたい」というような願望を掲げるのではなく、もっと脳を刺激するような、ワクワクするような(イメージするだけでアドレナリンが分泌されるような)「試合に勝った自分→未来の自分」をイメージすることがポイントなんだと思います。試合でうまくいかなかった、負けてしまったという意識で溢れる脳の内部表現をガツンと書き換えをすることが、必要です。

ということで試合が終わった今日必要なコンディショニングは、まず「明確な目標設定」。そしてそれに至る道を作るための「脳内部表現の書き換え」。「勝ちたい」ではなく、「勝つ」。むしろ「●●に勝利した」と、未来を起点にイメージする方が、変化した自分を鮮明にイメージできるので脳をコントロールすることができます。とにかく強く、強く、鮮明に自分の目標をイメージすること。脳科学の視点から考えると、それに必要な手段のことは、今は考えなくていいはず。

脳をセットする。これこそが勝利の扉を開く、「最初の鍵」です。