八幡鮨五代目">
八幡鮨五代目ブログで「カレー藤」のことが書かれていました。
昭和と平成にかけて学生時代を過ごした私にとって、以前に紹介した三品、フクちゃん、と並ぶ西早稲田のBIG3のワセメシ。
甘口だがコクのある大人の味。
しかもかなりのボリュームで腹を空かせた運動部の学生としては、三度食べれば病みつきになる魔性の味でした。
確か値段は並500円。大盛りはたしか50円アップ?
この店の名物は、味とボリュームもさることながら、このお姉さまのテキパキとした動き。
回転の早いお店を切盛りするために寸分の狂いのない動きでした。
そして、カレーを食べ始めて中盤に差し掛かると、必ず言ってくれるのです。
「カレーかけましょ!」
ただし、このサービスは一度だけ。
この言葉に甘え、もう一度ルーをお願いしようものなら、お姉さまからの厳しいたしなめの言葉が待っているのでした。
また、回転で勝負するお店としては、おしゃべりが多く食べるのが遅い女性同士の客や、彼女にウンチクをたれてチンタラ食べるカップルは天敵。
お姉さまが不機嫌になっていくのが分かり、小心者の私はドキドキしていました。
ここでは、ひたすら黙々と食べ、終わったら、さっさとお勘定を済まして帰るのが流儀。
カレーには、卵がついており「茹で」か「生」を選択できます。
私は生派。
はじめに生卵を、ルーの奥深くに沈め、熱いルーで半熟になるのを待つ。
この半熟卵を崩すのは、お姉さんがルーサービスの直後。
程良く半熟になった卵がルーと絡み合いカレーがまろやかな味にあるのでした。
実は、運動部の学生には特別待遇がありました。
ルーサービスの直後、スナップを効かせて、無言で、茹でタマゴをおいてくれるのです。
お姉さまとは特別な会話もすることもありませんでしたが、このサービスは運動部の学生へのエールだったのでしょう。
そんなお店との別れは突然でした。
ある日、予告もなくお店を閉めたのです。
その日の西早稲田商店街は、学生達が店の前に集まり騒然となりました。
閉ざされたシャッターには閉店のお知らせが・・・
そしてシャッターには学生たちの『ヤメナイデクレ!』の落書きが・・・
混乱しないように、予告することなく早稲田の杜を去ったのです。
カッコイイ・・・
まさしく伝説の店でした。
20年前の懐かしい青春の味を思い出しました・・・